富士市の東部地域をつなぐローカル鉄道、岳南鉄道の貨物輸送が16日、61年の歴史に幕を閉じた。17日以降のダイヤ改正で旅客列車を増発し、利用者の利便性向上に努める。
ラストランとなった同日、貨物列車の始発、終着地点となっている比奈駅でセレモニーが行われ、沿線住民を代表し星陵高3年の勝山里穂さん(原田)から最終便運転手の原山淳さんに花束が贈られた。
岳鉄は昭和24年に営業開始。28年に全線9.2キロメートルが開通した。
製紙会社の紙製品の出荷などを担った貨物輸送は44年度にピークを迎え、年間99万8000トンを記録。その後、速さや機動性で優れるトラックへのシフトチェンジで輸送量は激減。平成22年はピーク比15分の1の6万4000トンとなった。
さらにJR貨物から連絡運輸休止の通告が追い打ちとなった。22年度の鉄道事業収支は約6200万円の赤字を計上。貨物輸送の中止により、24年度の赤字額は8900万円に膨らむ見込み。
ただ岳鉄は貨物輸送の中止によって生まれるダイヤの空きを活用して、旅客列車を増発する。平日は午後7時以降の電車を上下とも増便。吉原駅発下り線など最終電車の出発時間帯も繰り下げ、利便性の向上を図る。