「貴様はどうも面白うないぞ!」と言われる生真面目な戦国武将の武田恒興は、不満げな主君の織田信長から秘伝書を渡される。そこには戦いや政りごとにおいて彼が感得したことが記されていた。
本能寺の変にて、信長亡き後、喪失感にさいなまれる恒興。乳兄弟でもあり、最も古い家庭の一人として、彼の背中だけを見つめてきたのだ。遺された秘伝書は、苦境のたびに恒興の苦難を払ってくれる。長久手の戦いの絶体絶命の窮地にもそれが救ってくれると信じていたが―。
最近、時代小説が面白いといわれますが、本書はその一つに挙げられる作品だと思います!